齋藤恵汰 & 堀崎剛志「構造と表面」〜ラテックスと不動産

 News Release

2019年7月17日
齋藤恵汰 & 堀崎剛志「構造と表面」〜ラテックスと不動産
駒込倉庫 Komagome SOKO|2019年8月2日 (金) - 8月11日 (日)

齋藤恵汰と堀崎剛志による二人展が、駒込倉庫 Komagome SOKOにて開催される。本展は、「構造と表面」をテーマに、両名の代表作といえる、ラテックスおよび不動産にまつわる作品が展示。日本およびアメリカをそれぞれ拠点に活躍する二人の気鋭作家による展覧会となる。

[左] 齋藤恵汰 / [右] 堀崎剛志 ©Tetsugo HYAKUTAKE

齋藤は1987年生まれ。2008年に都市空間におけるランドアート作品として《渋家》を制作。発表形式はキュレーション、編集、劇作、経営など多岐にわたるコンセプチュアル・アーティスト。活動において共通しているのは、 そのすべてが共同作業であるということであり、 全体として機能が果たされる表現を生み出している。


堀崎は1974年生まれ。2000年渡米、ロヨラ大学人文学部ヴィジュアルアート学科でメディアアートを学び、セントルイス市ワシントン大学にて修士号 (彫刻) 。その後17年間、アメリカを拠点に、美術館に限らずコミュニティの中で生まれるアートを、地域住民とともにプロジェクトとして実践してきた。


本展では、齋藤の代表作であり、アートフェア東京 (2013) に出展された、コレクティブ・ハウジングを不動産取引の手法で売買するコンセプチュアルアート作品《オーナーチェンジ》が再構成され展示。いっぽう堀崎は、ニューオリンズやニューヨーク州北部など、町中の過疎に注目し、廃屋の表面全体をラテックスで丹念に型取りする「ソーシャルドレス」シリーズを発表する。

また、期間中には、磯村暖、鈴木操、長谷川新、きりとりめでる、滝朝子、大岩雄典、木村奈緒、ユミソン等、アーティストやキュレーターを招いたトークイベントが連日行われる。

ステートメント


構造と表面:幻想を解体する方法

コミュニティは保守的で幻想である。しかしながらコミュニティは存在し、それが機能すると、国家権力へのパワーバランスになる。

そのコミュニティはとにかくいろんなものがあり、目に見えるものではない。目に見えるようにすることで、そこにコミュニティがあると認識することになる。それが認識された途端、ある種の力になり、これがパワーバランスを確保するために有効である。例えば裁判に勝つことが勝利ではない。その行動が世間に認知され続けると全体の構造に調整が入ることになる。

私たちは現状を打破する方法は「革命しかない」とは全く思っていない。
もちろん、人類は動物であり、その辺はおバカなので、なかなか血なまぐさい方向を避けるのが苦手な時代が続いたし、今後もそれはあるだろう。
でも、戦争中であろうと、脈々と続くコミュニティ(この言葉は漠としすぎているけどね)はこれまでも、これからも続いていく。

作品は地権かもしれないし、建物やモノの薄っぺらな表面かもしれないけど、これらに通底していることは、コミュニティを育んでいるということである。これは何者かの、大抵はマイノリティの安全地帯である。

コミュニティとは、3人以上のグループが同じ空間を共有し、会話を交わらせることで、次第に何らかの同じような考えを共鳴していき、それぞれにとって居心地の良い環境を作り上げた場合のその場のことだと思う。

たまたま同じ町内に住むということでつくられるコミュニティもあるが、ここでも、結局は、最も意気投合した核となる人々によって町内にとって最適解となることを決めた上で、町内からの支持を受けて継続している。

インターネット空間でも、どこまで奥底までつながりあっているかどうかは問題ではなく、上のようなコミュニティは存在していると感じる。個人的には、一回物理的に出会った方が、より充実したコミュニティを形成できる気がする。


それで思い出した。
僕らは結局、物理的な行動をとっている。形而上なことを夢想しているわりには、実践的には愚直なまでに身体を必要とする活動だと思う。

僕らはありうべき構造と表面で包摂しようとする。そのための展覧会を開催する。


堀崎剛志

齋藤恵汰渋家2008-|
「渋家トリエンナーレ」(渋家 3rd house|2010) での展示風景
©中島晴矢Bad Cloth2010

齋藤恵汰渋家2008-|
「VIVA☆CO」(棚ガレリ|2010) での展示風景

齋藤恵汰《渋家2008-|
「HOUSE 100」(The Conteiner|2012) での展示風景

堀崎剛志《Social Dress New Orleans: 730 days After 10 years After2017|
Spring Break Art Show「ブルックリン イマーシィブ」(2017) での展示風景
©Tetsugo HYAKUTAKE

ARTIST PROFILE

齋藤恵汰 saitokeita.com
1987年生まれ。2008年、都市空間におけるランドアート作品として《渋家》を制作。2013年ころまで渋家名義にて多数の展覧会を企画。2013年、「アートフェア東京」にコレクティブ・ハウジングを不動産取引の手法で売買するコンセプチュアルアート作品《オーナーチェンジ》を出品、NHKニュース7などで報道。同時期、NHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」に出演し話題となる。その後、演劇作品「機劇」(森下スタジオ、2015) 、「非劇」(吉祥寺シアター、2015) の劇作を行う。2015年より若手批評冊子「アーギュメンツ」を企画・制作。主な展覧会に「私戦と風景」(原爆の図 丸木美術館、2016) 、「自営と共在」(BARRAK、2017) など。

堀崎剛志 takashihorisaki.com
1974年生まれ。早稲田大学第二文学部美術専修在学中より、漆芸家 大西長利氏に師事 (乾漆) 。2000年渡米、ロヨラ大学人文学部ヴィジュアルアート学科でメディアアートを学び、セントルイス市ワシントン大学にて修士号 (彫刻) 。その後17年間、アメリカを拠点に、美術館に限らずコミュニティの中で生まれるアートを、地域住民とともにプロジェクトとして実践してきた。主な展覧会に、プロスペクト1ビエンナーレ (2008) 、セントルイス市現代美術館個展 (2012) 、Spring Break Art Show「ブルックリン イマーシィブ」(2017) など。

開催概要

名称 : 齋藤恵汰 & 堀崎剛志「構造と表面」〜ラテックスと不動産
会場 : 駒込倉庫 Komagome SOKO (東京都豊島区駒込2-14-2)
会期 : 2019年8月2日 (金) - 8月11日 (日)
   ※会期中の金土日のみオープン
時間 : 14:00 - 20:00

   ※会期中、個別要望による金土日以外および時間外来場も申し受けます。
   コンタクト先 : socialdress@gmail.com (表題「時間外入場希望」)
制作協力 : TAV GALLERY、渋都市

Event Information

8月2日 (金)|19:00 – 21:00
磯村暖 × 堀崎剛志 × 齋藤恵汰
「『私の』でない意志と動機はどこにあるか?」

8月3日 (土)|18:00 – 20:00
鈴木操 × 長谷川新 × 堀崎剛志
「ゾンビと切腹〜20世紀後半から現在までの彫刻〜」


8月4日 (日)|14:00 – 16:00
きりとりめでる × 堀崎剛志 × 齋藤恵汰
「インスタという漆、粘土なフェイスブック」


8月9日 (金)|18:00 – 20:00
滝朝子 × 堀崎剛志 × 齋藤恵汰
「多文化共生と居場所」


8月10日 (土)|18:00 – 20:00
大岩雄典 × 堀崎剛志 × 齋藤恵汰
「情緒と合意」


8月11日 (日)|14:00 – 16:00
木村奈緒 × ユミソン × 齋藤恵汰
「死んでから償う前の手がかり」


駒込倉庫 Komagome SOKO
東京都豊島区駒込2-14-2)


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